うしろの正面 目の前で行列ができていた。老若男女、多種多様なひとびとの行列。先を覗こうとしたら「ちゃんと並んで下さい」とぼんやりした白い影に注意された。なので仕方なく五条は列に並んだ。別に並ばなくてもよかったのだが、なんとなく並ばなくてはいけないような気がした。それに行列の周囲は闇に包まれていて、五条の六眼で見ても先は見えないし、呪力も感じない。ただ行列だけがぼんやりと光っていた。
列は以外とスムーズに解消されていき、ようやく五条の番になった。そこにはどこまでも闇を呑みこむ昏い巨大なクレーターのような穴があるだけだった。よくよく目を凝らしてみれば穴は生きているかのようにざわざわと蠢いていた。
「さあ、どうぞ」
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