引き分けにもならない【マイバジ♀】「え、バジそれどうした」
「え?」
「爪先、赤くなってんじゃんぶつけたんか?」
ツーリングを終え、ブーツと靴下を脱ぎ捨ててソファに腰掛けたオレの裸足を見てマイキーが目を丸くする。じっと見つめられている爪先に目をやって、あ、とマイキーの言葉を理解した。
「これペディキュアな」
「ぺでぃきゅあ?」
「エマもやってねえ?足の爪にマニキュア塗るやつ。これやると爪割れづらくなるんだって」
「…あー」
言われてみれば、みたいな声を出すマイキーに、オレは脚を伸ばして爪先を突きつける。マイキーは首を傾げながらもオレの爪先から目を逸らさなかった。
「どしたんバジ」
「どう思うよ」
「え?」
「だから、これ見てよお」
「これって何」
「爪。赤いだろ」
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