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    Misoniii_Saba

    @Misoniii_Saba

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    Misoniii_Saba

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    大人たいみつ♀でイチャイチャしてるだけの話。ぽいぴくを使ってみたかったのと短いの書きたかった。

    #たいみつ
    #女体化
    feminization

    かけがえのない人よ【たいみつ♀】今からそっち行っていい?
    帰宅して部屋着に着替えたところにかかってきた電話の向こうで、三ツ谷がそう言った。分かったと返せば、ほっとしたような声でありがとうと言う。通話を終えて、ソファに腰掛ける。今日は友人の結婚式だと言っていた。短くもない付き合いだから、朝までかも、などと話していたのを思い出す。しかしまだ、20時を回ったばかりだ。二次会が終わったあたりだろうか。三ツ谷の声はどこか静かだった。何かあったのかもしれない。

    (…ああ、そうか)

    三ツ谷からそうと聞いたことはない。ただ、もしや、と思った。今は違っても、かつては想いを寄せていた相手なのかもしれないと。惚れた女の過去の恋に嫉妬するほどガキじゃない。三ツ谷がノスタルジーを覚えて寂しさを感じたのならば、その手を取って今ここにある愛を伝えてやろうと、気障なことを考えてしまった。

    「ごめんね、急に」
    「構わねえよ。朝までじゃなかったのか」
    「うん、やっぱりね、疲れちゃったみたいだし、二次会までやったから続きはまた今度にしようってことになったんだ」
    「そうか」

    置きっぱなしにしている部屋着のワンピースに着替えた三ツ谷がオレの隣に座る。結婚式に参列する為のドレスにセットした髪も良かったが、自分しか見られない無防備な姿は、堪らない気持ちになる。最初の関わり方があんなだったと言うのに、今こうして共にいるのは、不思議だ。人生何が起こるか分からない。ただ、この出会いがオレにとってかけがえのないものだということだけは知っている。そんなことを考えていると、三ツ谷がじっとこちらを見ているのに気付いた。

    「どうした」
    「あ、いや、」
    「何かあったんだろ」
    「え」
    「龍宮寺の結婚式だったよな、今日は」

    辛いことでも思い出したか。そう聞けば、三ツ谷はぱちぱちと瞬きをしてから、うーん、と唸った。

    「辛いこと、てわけじゃねえんだよなあ」
    「そうか。それならいい」
    「…もしかして大寿くん、オレがドラケンのこと好きだった、とか、そんなこと考えてない?」
    「違うのか」
    「違うよお。確かに憧れてたけど、恋愛的なもんじゃないの」

    では何故なのか。今度はオレが三ツ谷を見つめる。視線に気付いた三ツ谷がそろ、と目を泳がせてからオレの手を取った。白く、小さな手だ。唇が何か言おうと開きかけては閉じられる。言葉が発せられるのを静かに待つ。この静寂は嫌いではない。いつまでも待てると思った。三ツ谷がオレの肩に頭を乗せる。ふう、と息を吐いた。

    「ドラケンとエマちゃんさ、昔っから両思いだったんだよ。多分気付いてなかったの本人達だけだったんじゃないかな」

    エマ、というのは確か佐野万次郎の妹だ。ドレスはオレが作ったんだよ、と結婚式の前に三ツ谷が言っていたのを覚えている。

    「ずっと一緒にいてさ、喧嘩した時もすぐ仲直りして、お互いのことしか見えてないの。羨ましいくらい。そんなんもう絶対結婚するって分かるじゃん」

    なのに。三ツ谷はオレの指をきゅ、と握る。長い睫毛がふる、と揺れた。

    「今日の結婚式見てたらさ、唐突に、これは当たり前じゃないんだって、思ったんだ」

    たとえば、ヤンチャしてた頃にドラケンが抗争や事故で死んじゃったり、どっちかが病気になったり、喧嘩して別れちゃったり、もしかしたらどこかの未来では2人とも…いなくなっちゃうことだって、あったかもしれない。

    「そう考えたらさ、あの幸せそうな姿も、オレが、こうやって大寿くんと一緒にいられるのも、すごい奇跡的なことなんだなって、思って、」
    「三ツ谷、」
    「そしたら、大寿くんに会いたくて、堪らなくなっちゃった」

    甘く垂れた目からほろほろと涙が零れ落ちる。薄く色づいた唇は緩く弧を描いて、それが酷く美しかった。

    「悲しいことなんて何もないよ。ただすごく幸せで、こうやって隣にいられるのが嬉しくて、」
    「ああ」
    「ねえ大寿くん、オレのこと離さないでね」

    オレの手を自分の頬にあてて、そう言って微笑む。離さないで、なんて今更だ。オレだって離す気はさらさらない。たとえ三ツ谷が離れたくなったとしても、何処かにやろうなんざ、考えてもやらねえ。

    「わっ」

    小さく細い体をぎゅうぎゅうと抱き締める。大寿くん、痛いよ、と笑う三ツ谷の頭を撫でて、頬に手を滑らせる。目尻に浮かんだ涙を指先で拭い、愛しい人と向き合った。

    「当たり前だ。お前は一生オレの隣にいろ」

    こつ、と額と額を突き合わせて、混じり気のない愛を送る。三ツ谷は白い頬を薄ら桃色に染めて、目を細めた。

    「熱烈」
    「お前こそ」
    「うん」
    「順序が狂ったが、まずは引っ越しだな」
    「え?」
    「一緒に暮らせばいつでも会えるだろ」
    「…それ名案だね」

    その後は、指輪を贈ろう。式は教会がいいが、三ツ谷がどうしたいかもよく聞こう。三ツ谷のウエディングドレス姿が、見たい。

    「愛してる」

    お前に出会ってこんなに優しい愛があることを知った。それこそが、オレにとっての奇跡だ。


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