「…キラー」
隣で幼なじみが囁いた。
「なんだ?」
大方、飽きた、とかこの長々しい話はいつ終わるんだ、とかそんなことだろう。我が国の式典は(主に宰相の)話が長いことで有名だ。卒業式の学長の話くらい長い。…なんならもっと長い。
この場にいる殆どが飽きて別のことを考えているであろう長話を、キッドが─しかも正装で─これだけ耐えたのだからむしろいいほうだ。
「飽きた」
「だろうな。むしろこの場に飽きてないやつのが少ないだろう。あと十分もすれば終わるんじゃないか?」
宰相はもう既に三十分程喋り倒しているので妥当な数字だろう。
「式典終わってもその後戦勝記念とか言ってパーティーやるだろ…いちいちめんどくせェんだよ…」
この国では何かと社交界やら○○記念パーティーやらが多い。もちろん戦勝記念のパーティーは国王主催で王宮で行われる為、一軍人などお呼びでないが、陸軍のトップとして名を馳せているキッドと副官のキラーには国王直々に声がかかるのだ。
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