神に誓いを「─国を作った20人のうち、─」
世界史の教師が黒板に映し出した世界地図に書き込むのを見ながら、ローは退屈そうに肘を机につき、ノートを取るでもなくただ座っていた。
ローはいわゆる"人生2周目"というやつで、"歴史の勉強"は前世で飽きるほどしてきたので今更学ぶべきことなどほとんど残されていない。強いて言うならば話す言語が変わっていないのに書かれる文字が見慣れぬものになっていた程度だ。
さらに言うならば、この歴史の教科書には致命的な欠陥があった。しかしそれはこの教科書だけでなくどの教科書にも歴史書にもある欠陥だった。
ローがそれに気がついたのは10歳になった頃、生まれた頃はうすらぼんやりだった前世の記憶が全て戻った後だった。記憶が戻って真っ先に"続き"が気になって、今世でも医者である父の大きな書斎の歴史書を片っ端から読み漁ってみても海賊のかの字もない時点で確信した。
4556