空になったのならまた注げばいい<やめろ、やめてくれ それは捨てたんだ もう空っぽになってたはずなんだ!>
<ヴェルギリウス どうして!>
ある日を境に何かが変わった。その変化は誰も気づくできないほどに水面下でおきたことであり、ただ違和感だけが残りもやもやした気持ちにさせていた。
いつまでも残る不快感が、バスの中の空気を酷く冷えさせていた。
「ヴェルギリウスさん、今日は随分とご機嫌ななめだな・・・」
<そ、そうだね>
二人は小声で喋ったが、静かなバス内ではそれなりの声量になる。
その声に自身のせいであることに呆れてため息を吐いた。
突然バスが停まる
「カロン?」
「メフィのお腹が空いたよ」
餌を誘い込むと、面白いほどにバスの周りに群がり始める
「よし、全員降りろ」
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