Visitation「よぉ、元気そうだな」
派手な服と髪型。嘘くさい白い歯と笑顔。アン・サングは何年経っても変わらないその顔で、そう言って座った。
「あんたほどじゃねぇよ」
「嘘つけ。顔面もきれいに元通りになったし、俺と違って五体満足だ。さぞ人気者だろうな」
「うるせぇな。金かけて地道に復元したのによ。あんなマヌケどもにパクられるとは――あんたは片腕落とされて、ちったぁ用心できるようになったかよ。脱獄なんて派手な真似して――シャバに戻ってもまだ部下が残ってたんなら奇跡だな」
落ちぶれた割に、羽振りは良さそうだ。
「てめぇはすぐ見切り付けやがって、ヤクなんかで稼ごうとするからそうなる」
「金と暴力が好きな若ぇの集めたのは、サング派抜けた後だ。古参は残ったろ。良かったな。切られたのが顔面じゃなくてさ」
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