おめでとうが決まっている世界の話 十八歳を迎えると、白い封筒が渡される。
中に書かれているのは、自分が将来結婚をする相手だ。国が管理をしている専門の機関でDNAやら何やら色々と割り出し、最高に相性の良い相手が記されている、らしい。
それがなんとまあ、疑う余地もない数値だとかなんとか。霊幻も、まだ学生の頃にちょっとした興味から専門書を手にとってみたことくらいあるが、中身は、もはやそういうのが趣味の人にしか分からない世界が果てもなく広がっていた。要するに、最初の数ページであっけなく脱落をしたのである。
ずうっと昔は、こんなふうに管理なんかされてはいなかった。筆をとって詩を詠んだり、相手の家へと何度も通ったり。あるいは当人の感情なんか二の次で、国同士の争いごとから人質の意味合いも含めて嫁がされたり。
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