Call me つんと唇を尖らせていてもなお、その横顔は彫刻のように美しかった。足を組みながら爪先のコンディションを確認しているらしい彼はこちらを見ようともしない。随分と絵になる姿だったものだからパシャリと一枚ポートレートを撮影してファンの皆さんにも見てもらいたいという気持ちがむくむく育ったが、今の不機嫌な彼には火に油だろうとどうにか飲み下した。
「巴さん」
彼の名を再び呼ぶ。やはり先程声をかけたときと同じように、彼が反応を示すことはない。つまらなさげに、手をくるくると捻りながらゆるやかな曲線を描く爪先だけを見ていた。気付かれないよう小さく嘆息を零す。どうにかしてほしい、という願いを込めて隣のソファに縮こまる漣くんに目線を送ったが、彼はゆるゆると首を振るだけだった。あんたが折れた方が早いですよぉ、こうなったおひいさんは強情なんで。どこか呆れたように語るその表情は面倒だからさっさとあんたが収めてくれと示すようにも見える。
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