Forever,Forever ふわふわと頭を撫でられたような気がした。優しく穏やかで、見知った手のひらの感触。そして、慣れたように自分の名前を呼ぶ声。
夢かもしれない。いや、きっと夢だ。寮の同室相手でレオの頭を撫でてくれる人はいない。一人寝ならばもっとあり得ないだろう。
「レオさん」
ああ、いつまでも眠っていたい。惰眠を貪ることは自らの才能への冒涜だったが、反対に唯一の休息でもある。なぜなら、食事をしていても性欲に侵されても、メロディは待ってはくれないからだ。けれど、睡眠中だけは音楽の女神様も手出しの出来ない時間だった。
だから、もう一眠りしよう。適当に理由をこじつけて、んん、と呻きながら布団を頭まで被った。
「朝食が出来てるぞ。アメリカ風に、パンケーキにベーコンとメープルシロップを乗せてみたんだが。レオさんのぶんも、ママが食べてしまおうかなあ」
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