アムネシアのその後さらさらと木々の擦れる音。
さくさくと誰かの土と枯葉を踏む音。
場所は____破壊された研究所。その中にある、中庭のような場所。
そこの大きな木の下で、1人の女性___いや、アンドロイドが静かに座り、1枚の画用紙を眺めている。
その表情は悲しげで。今にも泣き出しそうな、悔しそうな……アンドロイドが持つはずのない感情を露わにして、そこにいた。
「……ごめんなさい。助けられなくて、ごめんなさい」
ポツリと呟いた彼女の言葉は、誰にも届かない。
なぜなら、彼女が伝えたい人々はもう既に、死んでしまったのだから。
「……私は、私の持つ感情のデータを、どのように処理すればいいのでしょうか……人であった心たちは、どのように判断するんでしょうね……」
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