結霧コ書きかけ今日もこの街は分厚い雪雲の下、目が眩むほどの雪景色で出来ていた。
霧切ちゃんと共に過ごしてきた冬の季節に春が訪れるのはまだもう少し先のこと。
ー色々あったな…
思い返す記憶から死の色と絶望の匂いが薄れることはない。
それでも霧切ちゃんと二人で切り開いてきた道に後悔の二文字は無かった。
今彼女の肩に降りかかる雪が、桜の花びらに変わるその時を想像する。
暖かい風の中桜の花びらが舞う中に佇む彼女はきっとー
かわいい。
「結お姉さま」
小鳥のさえずりの様な心地良い声がして自己の世界から覚醒した時、目の前にはいつものファミレスの扉があった。
「…入らないの」
「あっ…入る入る!」
意気揚々と扉を開けるとウェイトレスが笑顔で出迎えてくれる。
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