真斗くんとトキヤくんがプールに行くお話「いちのせ!ぷーるだ!」
「うわぁ…!」
トキヤが真斗に手を引かれて足を踏み出すと、眼前に海が広がっていた。実際には海ではなく海を模した屋内プールだったが、あまりにも広いそれは、幼いトキヤにとっては本当に海のように感じた。
「いちのせ、ぷーるにはいるまえには、きちんとじゅんびうんどうをしなくてはならん」
「は、はいっ!」
真斗の指示に促されるままに準備運動を済ませると、真斗は再びトキヤの手を引きプール際へと引っ張った。「走ってはダメですよ!」そう強く言われていたから、小走りになりそうになるのを堪えて、早足でだ。
大人の人が持ってきてくれた浮き輪を装着し、いざ水の中へ。ドキドキとしながら水際に足を進める。
991