バレンタインマサトキちゃん落書きちゅ、と軽く触れた唇が、何度も触れ合ううちにトキヤから甘い吐息が漏れ始める。
その様子にすっかり煽られた真斗は、更に深くまで求め、トキヤを溶かしていった。
「ひじりかわ、さ…」
蜂蜜のような声で呼ばれればたまったものではない。
「チョコのお礼に、今日は一ノ瀬がしてほしいことをしよう。俺にしてもらいたいことはあるか?」
微笑みの中の企み。それに気づいたらしいトキヤの頬が一瞬で赤く染まった。
「え…あ、の……」
「どうして欲しいんだ?一ノ瀬」
今この局面で、自らの望みを口にするなど出来るわけがない。と思っているだろうことは手に取るように分かる。
尚も口を結んでいるトキヤへ、耳元で追い打ちをかける。
「一ノ瀬?」
「っ……」
トキヤの好きな声色で、たっぷりと愛情を込めて呼べば、腕の中でぴくりと跳ねた。
「言わねば分からんぞ?」
「ほ、ホワイトデーは一ヶ月後です!」
「お返しがホワイトデーでなければいいけないと誰が決めた?俺は今、一ノ瀬の気持ちに応えたいのだ」
「で、ですが…」
渋るトキヤに再度口付けを落とす。食むように、ゆっくりと。
「んっ、ぁ……」
「一ノ瀬、言ってくれ」
瞳は涙で濡れ、頬は赤く染まり、漏れる吐息は熱い。
漸く、震える唇から紡がれた言葉に、真斗は嬉しそうに笑った。
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バレンタインである意味は多分ない。