花ポルガタン、と部屋のドアが乱暴に開く音がした。
うとうとと微睡んでいた心地良い眠気を妨害され、ポルナレフは憂鬱そうに顔をしかめる。
立ち寄った街のホテルに泊まることを決め、確保できたのは三部屋。公平なるじゃんけんの末、ジョセフ、アヴドゥルと承太郎、そしてポルナレフと花京院の組に分かれ同室で眠ることとなった。
花京院とは何度か部屋を共にした経験はあったし、今更遠慮する間柄でもない。
特に不満もなくすんなりと部屋に入ったポルナレフと違い、珍しく花京院はふらりとどこかへ出かけてしまった。
いつもなら、軽く食事を済ませてから疲れを取るためにも早くベッドで眠れと慇懃無礼に命令してくるのに。少し意外に思いつつも、たまには息抜きだって必要なんだろうと結論付けたポルナレフは早々に風呂を済ませ、買い付けておいた軽食を口に詰め込んでから窮屈なベッドに体を滑らせた。
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