プチ創作小説パラ…パラ……と紙を捲る音が静かな部屋に響く。
特に話すこともないので、ただ二人は沈黙のなか、各々本を読んでいた。
沈黙は慣れているが、少し、彼相手だと気まずい。その気まずさから彼の方をチラリとみる。
彼は、栞を指に挟み、淡々と黙読しているようだ。結構読むのが早いのだろうか、次々とページを捲っていく。と、視線に気がついたのだろうか、持っていた栞を本に挟み、こちらに視線を返す。
「…何か、僕についてるの?」
「ん、いや、その栞少し年季があるような気がしてさ」
「あぁ…これね。昔…5年前くらい前かな?友達が旅行のお土産に買ってきてくれて、それ以降ずっと使ってるんだ」
「5年もか…物持ちがいいんだね」
「…そうかもね、一応気をつけて使ってはいるかな」
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