プチ創作小説パラ…パラ……と紙を捲る音が静かな部屋に響く。
特に話すこともないので、ただ二人は沈黙のなか、各々本を読んでいた。
沈黙は慣れているが、少し、彼相手だと気まずい。その気まずさから彼の方をチラリとみる。
彼は、栞を指に挟み、淡々と黙読しているようだ。結構読むのが早いのだろうか、次々とページを捲っていく。と、視線に気がついたのだろうか、持っていた栞を本に挟み、こちらに視線を返す。
「…何か、僕についてるの?」
「ん、いや、その栞少し年季があるような気がしてさ」
「あぁ…これね。昔…5年前くらい前かな?友達が旅行のお土産に買ってきてくれて、それ以降ずっと使ってるんだ」
「5年もか…物持ちがいいんだね」
「…そうかもね、一応気をつけて使ってはいるかな」
「ふーん」
「君のそのマフラーも、いつも同じものをつけてるような気がするけど、大切に扱ってるようだし綺麗だよね」
「…あぁ、これは貰ったものだからね」
「…君もきっと物持ちがいいんだろうな」
「まぁ、そうだったり、そうじゃなかったりするかな」
…マフラーについてそのような指摘をされるとは思わなかったが、彼の観察眼が良い事はうすうす察してはいた。
差別される社会の中であまりにも"普通"で、でも何かと勘は鋭く、洞察力、観察力に優れてる。
…やはり、得体のしれない人だね、君は。
クロとレイ
(自分でも驚いてるけどホントに運で主人公二人引きました 何事)
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…………
自分の持っている髪留めのリボンを並べて、何度も見比べっこをしている。学校のみんなから「いつも同じのをつけてるね」と言われて、はと思ったのだ。
時々変えないと…飽きられてしまうのでは…!?
毎日顔を合わせるから今更な気もするけれど、でも、変化がある方が、やっぱりちょっとはドキリとさせれないかな…
と、いうことで現在に至るのだ。しかし、手当たり次第に取っては、どうにもしっくりこないと首を傾げる。
そして、結局"いつもの"リボンを手に取った。
………
この白い布に青緑と水色の線が入ったリボンを手に入れた時の彼の反応を思い出す。「僕らの色だね」と少し笑って、私の髪につけてくれた。その時は今よりもっと笑うことは少なくて、だから強く、深く、印象に残ってる。その時から私は彼を笑わせてくれたこのリボンが大好きになったのだ。
結局私はそのリボンを髪につけ、玄関へと向かう。途中、彼に「何かしてたの?」と聞かれたけれど、「リボンを選んでた」と答えるとチラリとリボンを確認して、彼はまた少し笑った。
今思うとあれは彼のちょっとした独占欲だったりするのかな…と少し体が熱くなった気がしたのは絶対に彼にはナイショだ。
アクアの独白
(作者も温度差で溶けそう)
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「ヴーン………」
目の前にある小物の商品を見て唸る。決してどれも欲しいから悩んでる訳ではない、これらはいかにも女子高生の好みそうな物だからだ。俺が今こうして頭を抱えているのは、幼馴染みのロデアに渡す誕プレを選んでいるからだ。
「デンスまだ迷ってるの?私もう決めちゃったよ」
そう言ってロデアの誕プレの会計を済ませたアクアが話しかけてきた。
「いやでもさぁ!なんかこう…ロデアの嫌いなものはわかるんだけどさ!好きなもの…好きなもの……ヴゥン…」
(ロデアの好きなものと言えばデンスだけど…言えるはずがないもんね…)
「…物より食べ物の方がわかるんじゃないの?」
「そうなんだけどな…ただ、珍しくロデアが「物がいい」って言ったからな」
「え、本人に確認したの…?」
「そりゃあ毎年誕プレあげてるから今年も用意するに決まってるって思うだろ?だから先にリクエスト聞いてきたんだ」
「なんというか…らしいというか…あ。」
何かを見つけたらしいアクアの視線の先を見る。それは綺麗な香玉が入ってる小瓶のようだ。
「あ、アレいいかもな、匂いも強すぎないし」
「ね、私も思った」
「…でも種類が多いな…」
「こっから先は私は助言しないからね!そうじゃないとデンスが選んだことにならないよ」
「ヴゥ…」
また唸りながら小瓶を見つめる。何色もあり、さらに中に入っている花も何種類かあるから選択肢が多い。
ロデアの好きな色…落ち着く色………
あ。と声が漏れる。ひとつ、思い当たる節があった。
でもそれを選ぶのは少し気恥ずかしいような何とも言えない気分になる。
「ッあぁ〜〜!!!どうとでもなれ!!!!」
「えっ直感で選んじゃうの!??!?」
アクアが何かを言ってるような気がしたが、俺は構わずレジへと駆け出した。
だってさ、ロデアの言う"俺の声の色"がプレゼントに相応しいって思うなんて、何というか、自惚れというかナルシストみたいだろ…ッ
デンスとアクア
(クロ「君の恥ずかしいと思う基準がよくわからないよ…」
デンス「クロに言われたくねぇ〜」)
(500字を余裕で超えとる…でもキリがいいとこまで書きたかったんや 等と供述しており)
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「あの…こみゅ力って…どうしたら上がる…のでしょう…か…?」
「えぇ…っと…それは僕よりレイくんの方が向いてるんじゃないかな…?」
「レイに聞いたら「クロくんに聞いてみてよ」って言われて…」
「な、なるほど…でも僕は人と会う機会がないからよくわからないかな…」
「…じゃあ…なんでクロだったのかな…?」
「うーん、何か他に言ってなかったかな?例えば理由みたいな」
「えぇっと…「あの子だったら答えてくれるよ」みたいな…」
「…そ、そっか…うーん、僕の周りだと特にデンスが人当たり良くて適任だと思うけれど、わざわざ…僕を名指ししたんだよね…」
「デンス…確かにこみゅ力?高いような気がするけど…ちょっと私と違いすぎて…参考にしにくい…かな…」
「…確かにそうかもね。もしかしたら、僕も人と話をする時は聞く側になることが多いから、同じタイプから学んでみるといいよってことなのかもしれないね…」
「…聞き上手を目指せ…ってこと?」
「そういう事かもね。それだったら昔いくつか注意されたことがあるけれど、まずは作業しながら話を聞かない、かな」
「作業…?」
「僕は本をよく読んでるから、読みながら話を聞かないのって怒られたことがあるよ」
「クロも怒られたことがあるんだね…」
「あ、あるよ?…あとは、相槌かな」
「あいづち…」
「うん、とか、そうなんだ、とか、言葉にしなくても頷くとか、とにかく反応を返すということかな」
「…クロも無反応だって怒られたことがあるの?」
「そうだね」
「…なるほど……なんか、レイがクロに聞いてみてって言った理由わかった気がする…」
「え」
「何かしら役立つ回答を返してくれるから…かなって」
「…にしても難しい質問だったけどね…」
「…なんか、ごめんね…?」
セイとクロ
(高度なレイのクロに対する意地悪か?ちなみにセイちゃんが"こみゅ力"って言ってるのは使い慣れてない単語だからです)
(あとまた500字余裕で超えとるやん)