彦星を待つ / ✡️🎀−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
仕事を一時中断し、人の気配の消えた廊下にクロービスは立っていた。アプリの一番上の履歴から、ちょうど1日前の相手に通話を開始する。そうすれば今日も1コールもしないうちに、弾んだ声が耳へと届く。
「クロービスさん、お疲れ様です!」
「……君はこんな時間でも元気そうだな」
「ふふっ、いっつも時間きっかりにかかってくるんですもん。楽しみに待ってました」
無邪気な満面の笑みのアステルが脳裏へと浮かび、クロービスはほうと息をつく。張り詰めていた気が緩み、少し表情を和らげて窓の外を見れば、空に一筋の光が見えた。
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