もう一度あの鳥籠が消えた日。
おれはおまえに惚れていたんだろう。
コラさんの言っていた嵐を呼ぶその名前を、おれと同じ名を持つおまえを手配書で見てからずっと気にはなっていた。
麦わら屋が世界を引っ掻き回してくれたら、おれにもチャンスが巡ってくるんじゃねェかと淡い期待を抱いた。
だから兄の死で心も身体も限界寸前の麦わら屋を生かそうと敵地のど真ん中まで乗り込んだ。
ここで終わるような男じゃねェ、と信頼に似た何かを感じながら。
チャンスは程なくして巡ってきた。
あの極寒の地で満面の笑みを浮かべ真っ直ぐに気持ちを言葉に乗せる麦わら屋に唖然としながらも勝利の布石が舞い降りた、と四皇を餌に憎くて堪らないあの男を失墜させる切り札を手に入れた、と内心ほくそ笑んでいた。
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