素直じゃないとこも可愛くてよろしい(アタル・王妃) 人払いをした自室に、小百合は戻る。
パタンッと扉を閉めたと同時に軽く息を吐いたのは、ほとんど無意識に近かった。
(大勢の人に、お祝いされるのは嬉しいけれど……)
寄る年並みには敵わないのか、気疲れしてしまうのは否めなかった。
(偶には静かに一日を過ごしたいものね……)
王族であるため中々に難しいところはあるが、また昔のように家族でどこかに出かけて息抜きをしたいと思う。
しかし今は世代交代の最中でもあるため、自身も夫も息子夫婦も、それぞれで忙しい。
暫くは叶わないであろう願いに苦笑をしつつ部屋の奥へ進むと、ドレッサーの上に見覚えのない花が一輪置かれていた。
「?」
白い包装紙に赤いリボンが巻かれたシンプルなラッピング。そして、その中には一輪の桃色のスターチス。
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