書いててすけべなのか分からなくなりました10月31日の街は浮かれている。人も風景も雰囲気も。季節行事を言い訳に、普段無意識に抑えている「はしゃぎたい」という欲求を発散する者は少なくなく……少なくとも、一人はここにいた。
何年も前から似合いそうだと言われていた仮装。露出もないかっちりとしたものであるし、派手すぎない。元々犬歯は鋭くないので、やや張り切って付け歯まで買ってみた。鏡の前に立って、自分の姿を見る。本当の吸血鬼ならできない行為だが、人間なので身だしなみを整えられるのがありがたい。
「……サチコ、驚くだろうか」
期待と高揚で高鳴る胸の鼓動が心地よい。シャルルはふっと微笑んで、時計を再び見た。待ち合わせの時間までもう少し。彼女の家にこの格好で出向こうというのは、秘密のことだ。
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