Lady Vampireルーマニアでその昔、真祖の姫君として崇められていた美しい吸血鬼がいた。
白銀の美しい髪と宝石のように輝く碧眼。
真名を知ると誰もがその姿に魅了され、名を隠すほどの力を持った強大な吸血鬼。
彼女は自分の事をロナルド、と呼んでいた。
『いつか…いつか俺達と人間が笑って暮らせるようになれば良いのになぁ』
『ロナルド様は人間と仲良くなりたいのですか?』
『そうだな、そうなったら良いよな』
幼い私は美しい吸血鬼に憧れを抱いていた。
ダンピールで虚弱体質な私をいつも気にかけてくれて、日光なんて平気の筈なのに日焼けしたくないからといつも私と日の当たらないテラスで沢山の話をしてくれた。
心優しい吸血鬼だった。
彼女と出会ったのは母の故郷である日本へ一時的に滞在するため、新横浜に訪れていた時だった。
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