ハロウィンパーティーをする双子ハリ+親友ズになる予定だったもの塔への入り口をその裏へ隠していた肖像画は、違わぬ合言葉を聞き届けると恭しく前へと傾いた。絵の中のレディは指に挟んだグラスを小さく掲げ、純白の柔らかなローブの裾をふわりと持ち上げて淑やかに微笑み、塔へ続く道をゆっくりと開く。しかし、塔の前に集まっていた寮生の誰も太ったレディの優雅な所作に倣う者はいなかった。塔に入る前から廊下にまで聞こえてくる楽しげな音楽にみんなそわそわと浮き足立ち、人が通れる程まで道が開くのを今か今かと待っている。
夕食を終えて塔の前まで戻ったばかりのハリーも、肖像画の裏から聞こえてくる賑やかな気配にわくわくと胸を躍らせていた。
「ハロウィンのパーティーに参加するの、僕初めてだ」
高揚した気分に弾んだ声でそう言うと、ハリーの隣で首を伸ばしていたロンが肖像画の裏を覗き込みながら答える。
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