理由「随分と遅かったな」
日曜の昼過ぎに「用事がありまして」、そう告げて外出した御門浮葉がマンションに戻ってきたのは夕食の時間をとうに過ぎた頃だった。
高校生にもなって門限だなんだ騒ぐつもりはないし、そもそも自分は彼の保護者ではなければ彼の帰宅時間をとがめられるような優秀な生活を送っているわけではない。
ただ、自分の予想を数時間単位で超えているという事実を告げたかった。それだけ。
「珍しいですね、あなたが私のことを心配するなど」
堂本の言葉は御門にとっては意外なものだったのだろう。
少し眉をひそめながらもこちらを見つめてくる。
好意的でないのは相変わらずだが、以前よりはわかりやすく嫌悪感を出してきたように思える。
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