不夜城は何故回る?(仮)━━コンコン
とある日の放課後。
キーボードのカタカタという音だけが静かに響く生徒会室の扉がノックされる。
生徒会長、鴇瑛二がため息を吐きながら副会長の一青瀬名をチラリと見ると、一青は大変不快感を禁じ得ない様子で眼鏡のブリッジを指先で上げた。
「はい」
一青が生徒会室の扉を慎重に開けると━慎重に開ける理由は、今日は訪問予定がなかったからである━目の前には誰もいなかった。否、いないのではなく立っていないのである。
そう、生徒会室の扉をノックした人物は、綺麗な土下座をして床に這っていたのである。
「はっ━━?」
「お初にお目にかかります、私立王道学園高等部一青瀬名様。私の名前は壱岐綴と申します。」
一青の足元で綺麗な後頭部を見せながら土下座をする人物は、壱岐綴と名乗りそのまま「生徒会長様に謁見させていただけないでしょうか」と床に向かってそう話した。
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