「水……」
アジトに泊まっていたベリトは夜中に目を覚ました。
部屋が蒸暑く、飲み物を求めてキッチンにむかい、広間へと戻ってきた。
呑み明かしているメンバーはおらず、広く暗い部屋には静寂の音が響く。
(なんだか不思議な感じだぜ)
普段が騒がしい分、静寂がやけに耳につく。
ふと視線を奥の方に向けると、人が座っているのが見えた。
そこには、ソロモンが座っていた。その頬には薄く一筋に濡れていた。
「……」
ベリトがそっと近寄ると、ハッとしたようにソロモンが素早く頬を拭い振り返った。
「ベリトか。どうかしたのか。こんな夜更けに」
「水。俺様、喉カラカラ」
水を飲み干し、テーブルにコップを置くと、ベリトはソロモンの腕を掴んだ。引かれるまま立ち上がったソロモンをつれ、ベリトはソファーへと向かう。
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