交わらない二つの世界「貴方には特別な力があるのよ、ルイス」
僕はこの母親の吐くこの台詞が嫌いだ。顔も声色も匂いも全て嫌い。気持ちが悪い。きっと目の前で吐いてやれば喜ぶだろう。それは不服だからやらないし、臭いから嫌だ。
「ルイス、君は本当に面白いですね」
詐欺師みたいな笑顔を貼り付けてるこの兄も嫌いだ。長男だからと教育されてきたフェリックスは常に誰とでも打ち解ける表情や喋りをするし、動作もそれなりに良いところの坊ちゃんみたいで気持ちが悪い。後、いつも僕をからかってくる。うざい。
一番、僕が嫌いなのはいつもこのクソ兄と比較されるところだ。長男として教育されたフェリックス、特別な力があるからと教育された僕。
1956