全身に痛みを感じながら目を覚ますと見たことのない天井が目に入る。
ここはどこなのか、と体を起こしあたりを見渡そうとするが体が動かない。
上にあがっている腕を体を起こすために下に移動させようとするが動かない。恐る恐る自分の頭上にあるであろう腕を見ると、手錠がかかっていて自由に動かすことができない状態であった。服もシャツとパンツのみの着用であった。シャツのままで寝てしまってはしわがついてしまうとあらぬ心配をしつつ昨晩自分の身に起こったことを思い出そうとした。
私は確か昨日友人であるフランクと食事に行って……。
その後の記憶が欠如しているのである。頭に走る強い痛みがさらに痛みを増したような気がした。これ以上思い出してはいけないと、なにか本能のようなものが私が思い出すことを拒んでいるようである。
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