夢でもいいから雲ひとつない青空の下。影の中で目が覚めた。
また、この木陰で居眠りをしていたらしい。
青々とした丘の草原が、心地よい音を立てている。ここは、いつも居眠りをしてしまうほど気持ちが良い場所だ。だから、「また」である。
ぐっと伸びをして、立ち上がった。
木陰から出ていき、丘を歩いていく。
ゆるやかな下り坂をゆっくり、ゆっくりと歩いていく。
視界が下りてきて、徐々に隠れていた景色が現れてくる。
雲ひとつない青空の下。青々とした丘の緑。
途中で青空が途切れ、丘の緑が途切れる。
そこからはどこまでも真っ白で、何も、描かれていない。
この真っ白に足を置いたら、どこにも着地せずに落ちてしまうのではないか、と思えて、足を踏み出すことはせずにいる。
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