野営のネズミ――――ぱちり
爆ぜる火粉の音に、顔を上げる
辺りを見渡せど特に影はなく、冷たい洞窟の壁が広がっているだけ
「・・・寝てた?」
独り言は多くない方だ、と思いたい。
少なくとも、無意味に喋るのが好き、ということはない
道中で採った食材で飢えは凌いだが、それでも自分の胃には足りない
焚火の灰を少し均し、焚き木を追加
火が安定したのを確認して、愛用のスキレットと河で採れた魚
スパイスに、小瓶に持ってきたバター となれば
「なんちゃってムニエルだな」
小麦粉はないので、そのまま油を敷き、魚を焼いていく
ふわり、いい香りが漂うが、ここは洞窟・・・手短に済ませたほうがいいかもしれない
そういえば、と皿に盛った辺りで、ポケットのクルミの存在を思い出した
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