2.こんなに好きだけども一体何がきっかけだったのか、気がつけば目の前にいた竜之介の体を押し倒していた。
日に焼けて所々ささくれている畳の上に転がった身体は自分より一回りも小さくて、うっかり潰してしまわないか不安を感じる。それでも、普段よりとずっと間近に感じる竜之介の存在に、渚は感嘆のため息を漏らした。その吐息さえも触れ合いそうな程の近い距離だった。
そろりと手を頬に伸ばすと、想像していたよりも柔らかくて、それにもまた感動した。指と手のひらで撫でる滑らかでとても気持ちがいい。頬にべたりと貼り付けられてる大きな絆創膏が邪魔だと思った。
渚の手がゆるりと動くたびに、小さく震える。
不安や恐怖、緊張、そういったものが混ざった色の表情で渚の顔を見上げている。大きな目がせわしなく瞬きを繰り返すたびに、ぱさ、とまつ毛が揺れていた。
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