出会いは奔星不良。一匹狼。乱暴者。
それが藤本燐という少年に付けられたラベルである。
別にそれでも構わない。なぜならそれらのラベルは今までの行いを端的に示している物であって、謂れのない流言飛語というわけではないのだから。
東京からほど近い地方都市。中学からの持ち上がりが多い地元の高校に進学したがゆえ、中学時代に荒れていた彼を知る者は大勢いる。
他校から進学した者であっても噂を聞いて「そうなんだ」と対して疑問にも思わず飲み込み、ろくに知ろうともしない内から遠巻きに眺めるだけだ。要は何がきっかけで爆発するのか分からない時限爆弾。対処方法は一つ、できるだけ関わりを持たない。そういう扱いなのである。
不本意だと思えたら良いのだろうか。しかし残念ながら燐はそれで傷付くことができる段階はとうに超えてしまっていた。
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