序章オロルンの薄くなった隈をなでる。
相変わらず太陽が昇っても眠っているが、前とは違って夜も夢の中にいる。
それはオロルンの魂が少しづつ、夜神の国に帰っているためだった。
不安な魂を持つ彼はもともと先の長くない人生だったことは周知の事実で、本人もそれを悲観することなく生を謳歌していたが終わりは淡々と近づいてきていた。
旅人が天理との戦いに勝ち、交渉という形でカーンルイアの血にかけられた不死の呪縛を解いた。そのため、夜神と同一化していた役目も終わろうとしていた。
カピターノはそのまま夜神の国のルールに従って魂が輪廻する時を待つつもりだったが、死を迎えたわけではない魂はその流れに乗ることはできなかった。
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