「私、物を大事にしない人嫌いなの。」
ロシナンテはドジっ子である。どのぐらいドジっ子かというと、道を歩けば何もない所で転び生傷が絶えず、家の皿は全て割った為プラスチック食器と紙皿でしのぎ、タバコを吸えば服を焦がす。そして冒頭の台詞が彼女がロシナンテを振ったときの一言である。
勘違いされがちなのだが、けしてロシナンテは物を大事にしていないわけではない。養父から貰った丈夫な革財布は時折手入れをして長く使っているし、兄から貰った丈夫な腕時計も今のところ壊さずに使えている。
ただ、ドジなのである。本当にドジなのである。大事なものを自分で壊してしまうほどの致命的なドジ。若いころは「俺はドジっ子なんだ」と茶化して言っていたが、おっさんになってからは流石にそれもきつくなってきた。
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