挨拶回り ある休日の荘園、広間にて。それぞれが思い思いの時間を過ごす中、ひときわの喧騒。越後と声聞士を囲むように、何人かの地魂男児たちが集まっていた。
「ご報告なんスけど……実はオレたち、付き合い始めたんス!」
「……みんな。改めて、これからもよろしくね」
挨拶回りは、二人で相談して決めた事だった。
もちろん荘園の何人かは、越後と声聞士の事のあらましを知っている。それに──他の皆も、共に過ごしている仲間だ。世話になったり、迷惑をかけたりもした。だから恥ずかしさはあったけれど、感謝も込めて、改めて知っておいてもらうことにしたのだ。
二人が照れながらも挨拶を済ませると、皆口々に騒ぎ立てる。
「フン、やっとか」と土佐。
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