どこへともなく私の歩は勝手に進む。
どこでもいいどこかへ行きたい。
そうして気がついたときには夢の森に足を踏み入れていた。
倒れ込めば頬に冷たい雪の感触。冷たい。気持ちいい。
甘い香りに乱されて思考がまとまらない。
それでいい。もう考えることも飽きた。
私は死に場所を探していたのだ。自分がどうしてこんな北に来てしまったのか、目的をようやく思い出す。
そうだ。
夢の森で穏やかな幻を見て、石になりたい。そう思ったのだ。
目を閉じて呼吸すらもお仕舞いにしようとしたとき。
「おい。あんた、大丈夫か?」
少し高めのボーイソプラノが鼓膜を震わせる。子供? こんなところに?
私はうっすらと目を開け、あたりを見回した。
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