まさかこんなことになるとは思わなかった。
「どうしょうかぁ……入ってきた場所ももうわからんし」
「大丈夫だって! 先生も探してくれてるだろうし、俺達も自力で出口探そうぜ?」
思わず、といった風に不安を溢した今日の演習の相方、山波もにかに、夜空太陽は殊更に明るく返した。
真っ暗闇の中、自分の能力だけが唯一の明かりだ。蝋燭程度の明るさで手首から先を光らせた太陽は洞窟の先を照らした。なんとか早く出口を見つけなければ。
「ほらっ、行こうぜ」
「うん、そうじゃね、ありがとう」
じわりと視界の端が白く消えていく。押し寄せる不安と恐怖を隠して、太陽はニッと笑って先を歩き出した。
◇◆◇
時間はかれこれ二時間ほど前に遡る。
3235