諸行無常 俺は山奥にある小さな教会に併設された墓所を訪れた。
知る人ぞ知るこの墓所は、誰も寄せ付けない山奥にあった。人から忘れ去られてもおかしくないほど奥まった場所にあるのに、きちんと手入れがされていて、かつ花が供えられている。誰かが墓参りにきている。
ここまで尽くされているということは、生前たくさんの人の役に立ったということだ。これはいくつもの墓を見てきた勘だ。
「ここにいたんだな」
――クラトス・アウリオン。
墓に記された名前を見つけて安堵する。
ゆっくりと膝を地面につけると、もたれかかるように親しい名が彫られた墓石に縋り付く。
クラトスがどこにいるのか、デリス・カーラーン中をくまなく捜した。天使化した身体を使って日夜問わず飛び回った。捜し物は得意だ。エクスフィアを探す旅の最中に取った杵柄だった。
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