小夜左文字は四番目の刀である(仮) 小夜左文字は、この本丸で四番目に顕現した刀剣男子である。
立ち上げから十年以上が経ったこの本丸では古参と呼ばれる立場だ。自然と、最初の刀である山姥切国広を補佐してまとめ役を担う場面が多くなる。審神者が病に伏している現状ではなおのことだった。
審神者は若くはないが、老いてもいない。当人ですら、初めは質の悪い風邪か何かだと思っていたようだ。特別な治療が必要な病であると分かったときには既に手遅れで、ボールが坂を転げ落ちるがごとく病状は悪化した。
小夜左文字が審神者の額に乗せる濡れタオルを変えていると、審神者はうっすらと目を開いた。
「ありがとう。でも、うつってしまうかもしれないから気にしなくていいよ」
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