淡麗辛口生の恋(仮)1 ジンジャーエール(のようなもの):天馬の節
調理場から明るい声があがった。
ちょうど食堂へ入ったばかりのフェリクスがそちらを見やると、アネットとメルセデスが保存容器を覗き込んで楽しげに会話していた。
二人に近寄ると、甘い香りが漂ってきた。
「メルセデス、ギルベルト殿と先生が探していた。次の作戦の配置について相談したいそうだ」
「あら~、フェリクス。ありがとう」
「メーチェ、こっちは急ぎじゃないから、先に話を聞いてきたら?」
アネットは容器に蓋をする。メルセデスは笑って頷いた。
「ありがとう、アン。そうさせてもらうわね~」
アネットと手を振り交わしつつメルセデスは食堂から出る。メルセデスが見えなくなって、アネットは振っていた手を下ろして息を吐いた。
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