ババ抜きある日の昼下がり。
透明のガラスのポットに薔薇の花が舞う。辺りに薔薇の自然な香りが漂う。ふむ、我ながらいい物を選んだな、と自画自賛しても怒られないだろう。それほど美しいのだから。
マララは趣味である紅茶を淹れ、一人インスタントのロイヤルミルクティーを飲んでいた。淹れた紅茶は後に来るであろう2人に振る舞う予定である。予定は未定という言葉もあるが確実に来るだろう。
「ピピ〜」
ほら来た、と。笛を控えめに鳴らし部屋に入ってきたのは、ルテテ中尉だ。別に喋れない訳では無いが、何故か彼は笛で意思疎通を図ろうとする。
「いらっしゃい。ちょうど紅茶を淹れたんです。飲んでいってくださいな。…あ、今日のはミルク少なめで飲んでください。香りがとてもいいので」
1934