夢寐のほとりにてDay.1 邂逅
―――きっかけとなった出来事を思い返すなら、ある秘境を訪れたことが始まりだ。
仕事で必要な素材があった。その素材は建物の基盤として使われる素材で、どうしても外すことが出来なかった。
けれど、あまりにも辺鄙な地にあるその素材を採取するには相応の労力を要する。それでもカーヴェは自身のこだわりのためならば、例え嵐が吹き荒れていようとも、靴や目の中が砂粒に塗れようとも、決して厭うことはない。
「仕事の関係で数日留守にするかもしれない。君には関係ないかもしれないが、一応ね」
「静かになって良いことだ。今度の行き先はどこへ?一応、聞いておいてあげよう」
「皮肉に皮肉で返すんじゃない。キャラバン宿駅とアアル村を越えた先にある秘境だよ、そこでしか採れない素材があるんだ」
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