「マヨイさん、俺たちでルームシェアをしませんか?」
きっかけは巽のその一言だった。それなりの活動期間になり、後輩も増え、そろそろ寮を出ても良い頃かも知れませんね、なんて話をしていた時の何気ない提案だ。
「ええっ! ど、どどどっ……同棲、ですかあ!?」
「おや、きみが身構えてしまうと思ってあえてその言葉は避けたんですけど」
真っ赤になってどもるマヨイに、巽はくすりと苦笑した。
アイドルとしての歴が長い、という事は、つまり巽とマヨイが恋人となってからも長いという事だ。まだALKALOIDがユニットとしての地盤を固める前、いつクビになるかと戦々恐々としていた頃からの仲なのだ。そう考えると、もう随分と経つ。
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