パチョマク短文 カルパッチョ・ローヤンは、人生で最も理解が追いつかない存在と出会ってしまった。それがマックス・ランドだ。
彼は恐れや敬意を抱くでもなく、ただ「奇妙」だった。なぜ親友の弟の親友というだけで、命と体を張る覚悟ができるのか。そこまで踏み込めるのか。カルパッチョにはその理由がどうしてもわからなかった。
「魔法史の勉強がしたい。まずは身近なこの校舎から始めようと思ってる。
センパイが史学の視点からオススメする場所はどこ?センパイが気に入っている――よく行くところなら僕も通いやすい立地にあるよね?」
アドラ寮の談話室はある空気に包まれていた。――また来たのかよ……この男。カルパッチョ・ローヤンによって出来上がった空気である。はじめは恐れの気配が濃かった。いまや「帰れ!」なのだから、人というものは何事にもすぐ慣れる。
1658