さて、どうしたものか。
洗濯物を干しながら、竜胆は今日の予定を思い描いた。
九時。数件先の深井さん。高齢の彼女は息子夫婦に宅配を出したいのだけれど、集荷の手配がわからないと嘆いていた。だから出向いて手伝いましょうと申し出ている。きっと終わればお茶に誘われ二時間前後は固いだろう。
十一時。通りの向こうにあるベーカリー。食パンが焼き上がるのはその時間だ。ちょうど昨日切らしてしまったので買いに行かねばならない。これを理由に、深井さんとのお茶は切り上げさせてもらおうか。
それから十三時。これもまた約束事なのだが──。
ガチャリ、と。思考を遮るように扉が開いた。
現れたのは一人の男だ。彼はぼさぼさの頭をかき、一度大きく欠伸をしてからこちらを見た。「おはよう、まこと」妙に舌ったらずな挨拶には、竜胆もついほほえんでしまう。
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