昨日の明日は蜃気楼1話
空から落ちてきた憂鬱が足元に波紋を描く月曜日の昼下がり。
週の始まりというだけでも気が重いのに、昼前からじわじわと発達した入道雲は、びしょ濡れのタオルを絞ったような雨を降らせた。
その上、
「貴方は呪われてるんですよ」
なんて言われたら、月曜日なんて大嫌いになってしまうに決まっている。
未曾有の災害によって、世間は自粛ムード一色、大学は休校、バイト先は休業と、俺、村上 多聞(むらかみ たもん)の大学二回生の生活は岩山を転げ落ちるかの如く始まった。
自粛開けの頃、生活費の足しにと始めたフードデリバリーのバイトは、意外にも性に合っており、講義が一部再開した今も続けている。
店長だの後輩だの、人間関係に煩わされることがないのが気楽で良い。
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