ゴミ さて、ボクの顛末を話そうか。愚昧な名無しが如何にしてその灯火を吹き消すに至ったか。嗤っても構わないよ、それもまたキミの自由だ。
嗚呼、前置きが長いって? それは失礼、ならば本題に入ろう。
まず、ボクには何も記憶が無かった。まるで不純物の無い氷のようにね、面白い程綺麗さっぱりとボクという存在は不完全に透明だったのさ。居ても居なくても変わらない。なにせ見えないということは認識されないということだから、畢竟居ないのと大差ない。
ただ、ひとつだけボクにはアンカーとなり得るものがあった。而してソレは相応しく機能した。刺さるだけのリーチがあったにせよ見つけられる運命にあったにせよ、どちらであろうがそれが幸福なものであったか? と問われると首を傾げるよ。これについては未だ答えは出ないし、出す必要も無い。終わったコトだからね。
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