楽園の休日デイビット・ゼム・ヴォイドはその短い人生の中で、最も愚かしい実験に着手した。もっとも、いかに愚かであったかというのは後々に本人だけがそっと気付いた事であり、始めた当初はこれしかないと思っていたし、結果がどのように作用するのかなどということは、それこそやってみなければわからないことであった。
いずれにせよ、『後悔』というおよそ生きているころには感じることのなかった無駄な感傷に襲われることになったわけだが、このときはまだ知るよしもないのであった。
ある朝、デイビットはいつものように温かなベッドの中で目を覚ました。
何一つとして自分を追うもののない環境で眠り、目を覚ますことのなんと心地よいことであろうか。ここにきてから、毎日が驚きに満ちていた。
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