『だからやめた方が良いって僕ァ言ったんだけどね』ソファが悲鳴を上げている。
三人掛けのソファは贅沢な作りで、決して安物ではない。けれども、大柄な、日本人の平均からするとだいぶ大柄な男ふたりが乗って暴れることは、想定されていないのだろう。
一際大きく軋んだ音は、それよりも大きな悲鳴にかき消された。
甘く、鼻に掛かった、官能的な鳴き声。
普段のその人からは想像も出来ないような色めいた声は、男の情欲をひどく刺激するものだった。
金時は、真っ白い背中を見下ろしながら、低く息を吐いた。
そうでもしないと、神経が発火でもして焼き切れそうだったのだ。
見下ろした先には、腰から項まで、滑らかに傾斜を描く背骨に流れた汗が伝っている。薄い皮膚の内側には仄赤い血がふつふつと沸いていて、白い膜の内側で燃えているようだった。
3009