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「……ごめんって、こういう場合言ったら失礼だよな?」
迷路の茂みの向こう側。パーティーを楽しむ明るい声や、騒がしい声が聞こえる中で。自分は人気のない場所まで、デュースに連れられてきていた。
そしてなぜか、なんの前触れもなく、キスをされた。
「もう一回良いか?」
こっちの返答なんて、きっとハナから聞く気がない。やけに綺麗にほほ笑んだデュースが、再び自分に被さってきた。
くちびるに触れた温もりは、これで二度目。一度目よりはハッキリと柔らかさやデュースの熱を感じる余裕はできた。
けど、問題は多分そこじゃない。それは色恋に疎い自分でも分かる。
「また時々、こうして二人きりでキスがしたい」
陰ったピーコックグリーンの瞳が、静かに燃えているような気がした。太陽から姿を隠すように抱きしめられて、デュースの腕がしっかり肩と腰に回って。少し痛いぐらに抱き寄せられながら、親しい友人の吐息を間近で感じながら。
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